RAW現像(レタッチとも呼ばれます)とは「デジタル一眼カメラで撮影した写真ならではの編集方法」のひとつ
JPEGのような画像データではなく、写真の生データ(RAWデータ)を直接編集するため、明暗差や色を大きく変更しても自然な仕上がりになります


明るさや色の諧調が崩れることが少ないため、夜景・星空を煌めきのある見た目にしたり、風景を色鮮やかにみせるといった加工がすごくしやすいのが魅力ですね
とはいえ、RAW現像初心者の方にとって、多彩な機能を持つRAW現像ソフトを使って編集することはすごくハードルが高い作業ですよね
そこで今回は、RAW現像をはじめかた・RAW現像ソフトの使い方にフォーカスして、僕が実際に行っているルーティーンを紹介したいと思います
- これからRAW現像をマスターして写真の技術を磨きたい
- RAW現像のワークフローを体系的に学んで作業を効率化したい
と考えている方に役立つ内容になっているかと思いますので、ぜひ最後までチェックしてみてください
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以下の記事では、RAW現像初心者の方におすすめのRAW現像ソフトを厳選して紹介しています。これからRAW現像にチャレンジしてみたいけど、どのソフトが良いのか悩んでいる方はぜひチェックしてみてください


RAW現像をはじめる手順は3ステップ


RAW現像の全体的な手順は3ステップにまとめることができます


すでにRAW現像ソフトを導入済みの方は、RAW現像で画像編集を行うから確認してください
RAW現像に用いる写真はこちら
今回は実際にRAW現像をやりつつ、具体的な内容を紹介していきたいと思います。RAWデータは色や明るさの諧調を広く残せる反面、撮影した時点ではどこかどんよりした見た目になります


そして上記のRAWデータをRAW現像した後の写真が以下です。編集前の写真と比べると色合いや明るさが大きく変化していると思います


これはRAW現像ソフトを用いて編集していますが、実際にかかった時間は2~3分程度です。慣れればこのくらいサクサクとできる作業ですので、ぜひハードルを高く感じず真似してもらえれば幸いです


それでは以降では、具体的な「RAW現像のやり方」について3ステップで紹介していきます
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以下の記事では、RAW現像に関する初歩的な疑問点をまとめています。RAWデータとJPEGデータの違い、RAW現像を行うメリットなど、気になる点を体系的に学ぶことができますので、ぜひ参考にしてください
Step.1:RAWデータ形式で写真を保存する
すでに設定済みの方は、次のステップへジャンプしてください


RAW現像を始めるには、大前提としてRAWデータ形式で写真を撮影する必要があります
なお、一般的にはカメラの画像保存形式はJPEGがデフォルトですので、カメラ設定を変更してRAWデータも記録するようにしましょう


写真の保存形式の方法は各カメラメーカによって異なりますが、カメラ設定で簡単に切り替えることができます
SONYのカメラでの設定変更例
わたしが持っているSONYのカメラ(SONY α7III)では、MENU直下の「ファイル形式」で変更することができます


選択できる項目は以下の3つで、おすすめはRAWとJPEGの同時保存です
- JPEGのみ保存:初期設定ではこれ
- RAWのみ保存:SNSなどに直接アップできないデータのため非推奨
- RAW + JPEG同時保存:データサイズはやや大きくなるが両方記録するのが無難
なお、RAWとJPEG同時保存では、ファイル容量が大きくなりますので、その点はご留意ください
保存形式 | 1枚当たりの ファイルサイズ |
JPEGのみ | 約17MB |
RAWのみ | 約25MB |
RAW+JPEG | 約42MB |
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RAW現像を高速化したり、万が一の故障のリスクを踏まえるとポータブルSSDを持っておくことがおすすめです。以下の記事では、RAW現像に適したストレージ選びについてまとめていますので、ぜひ参考にしてください
Step.2:RAW現像ソフトを用意する
すでに用意されている方は、次のステップへジャンプしてください


RAWデータを編集するためには専用のRAW現像ソフトが必要です。処理負荷が大きいためパソコンで動作するものが一般的で、無料から有料のものまでさまざまなツールが存在します


一般的な写真編集アプリなどでは、RAWデータを読み込むことができないため、注意が必要です
無料から有料まで、さまざまなRAW現像ソフトがありますので、ここでは簡単に代表的なRAW現像ソフトを紹介します
なお、機能の使いやすさ・応答速度・編集例の情報量を踏まえると、「Lightroom」や「Luminar」といった有名どころの有料RAW現像ソフトを使うことをおすすめします


この先ずっと使い続けるものですので、最初から慣れておくとアドバンテージになりますよ
無料で使えるRAW現像ソフト
無料で使えるRAW現像ソフトとして代表的なものは、各カメラメーカーから提供されるRAW現像ソフトです
やや独特のインターフェースや機能の不足はあるものの、基本的な明るさや色調整自体はできるため、まずはカメラメーカーのRAW現像ソフトを使ってみても良いかと思います
カメラメーカー | RAW現像ツール名(無料) |
Canon | Digital Photo Professional(DPP) |
SONY | Imaging Edge(Edit) |
Nikon | Caprure NX-D |
FUJIFILM | RAW FILE CONVERTER EX 3.0 |
Panasonic | Silkypix |
OLYMPUS | Olympus Workspace |
有料のおすすめRAW現像ソフト
次に紹介するのが有料のRAW現像ソフトです。1万円未満で一括購入できるものや、ひと月千円程度で使えるサブスク形式のものがあります


早くRAW現像を上達したいと考えている方は、RAW現像ソフトを使うのが個人的にはおすすめです
特におすすめな有料RAW現像ソフト
有料RAW現像ソフトの中でも有名どころは以下の2ツールで、特に初心者の方には、維持費が安く・操作性の簡単な「LuminarAI」がおすすめです
- Luminar AI:維持費が安い(¥9,580:一括払い)・十分なRAW現像機能を搭載・操作が簡単
- Lightroom / Photosohp:維持費がやや高い(¥1,078:月額サブスク)・機能は非常に優秀でプロも活用
Luminar AIで実際に編集したデータ
(中央のスライダーを左右に振ってください)


左:編集前 / 右:編集後




このような鮮やかな画像編集も、スライダー操作ひとつで簡単にできます。もちろん手動での細かい調整機能も充実しています!
LuminarAIはインストール後7日間は無料で使用できるので、ぜひ気になっている方は一度使ってみることをおすすめします


7日間は無料で使用できますので、ぜひ試してみましょう!
以下の記事では、LuminarAIの詳しいレビューを紹介しています。初めての方にもおすすめな理由をわかりやすくまとめていますので、ぜひ参考にしてください


Step.3:RAW現像ソフトで画像編集を行う


前置きが非常に長くなってしまいましたが、ここからが本編です。ここでは実際のRAW現像ツール「Lightroom Classic」を使ってRAW現像の手順を紹介します


Luminar AIでも同様の操作ができますので、参考としてチェックしてみてくださいね
明るさの補正
基本的にRAW現像のファーストステップは、明るさの調整からはじめることが多いです


この後に色編集を行うにあたって、目視で編集を確認しやすくするためにも、明るさを初めに調整しておきます
特にRAWデータで撮影した写真は、明るさ・色味のコントラストが低い状態ですので、まずは明るさを調整しつつ、明暗差をはっきりとつけていきます


具体的に明るさの補正を紹介すると、以下の2ステップに分けることができます
明るさ調整:露光量
ひとつ目のステップは写真全体の明るさの調整を行うことで「露光量(Luminar AIでは露出)」の操作バーを振りながら、ちょうどよい明るさとなるように編集を加えていきます
「露光量」では、写真全体の明るさを一括で調整することができます




今回のRAW現像では、観覧車の明るさがちょうど良く感じる程度まで明るさを持ち上げてみました
(スライダーを左右に振ってみてください)


before / after


全体的にずいぶん明るくなりましたよね
明るさ調整:ハイライト・シャドウ
さきほどの写真では明るすぎる部分や、まだまだ暗い部分が残っていますので、次に「ハイライト・シャドウ」で、比較的暗い部分・明るい部分を部分的に調整していきます
「ハイライト・シャドウ」では、明るい部分や暗い部分を中心に明るさを調整することができます




今回は、観覧車の明るさを下げつつ(ハイライトを下げる)、周辺の暗い建物をもう少し明るく(シャドウを上げる)してみました
(スライダーを左右に振ってみてください)


before / after


写真を見ながらスライダーを調整しましょう。とりあえず明るさの補正はこれで終わりとして、次のステップに進みます
ホワイトバランス
簡単に明るさの調整を終えたところで、次は色合いの調整です。ホワイトバランスは写真全体の色味を「寒色(青)寄り・暖色(オレンジ)寄り」に補正することができます




寒色は落ち着いた雰囲気に、暖色は暖かな雰囲気を演出することができます
今回の被写体は夜景ですので、全体的に青みがかっていた方がカッコいい印象となる(と僕が勝手に思っている)ため、寒色方向に振っていきます


(スライダーを左右に振ってみてください)


before / after


これだけで写真の印象がガラッと変わりましたね
色味の調整
ホワイトバランスで写真全体の色を調整しましたので、最後に色味の調整を行っていきます
全体的な色の鮮やかさは「彩度」で調整しつつ、その中でも今回は「青色とオレンジ色を色個別の調整で強調」してみます
色味調整:全体的な色味調整(自然な彩度)
写真全体の色鮮やかさの調整は「彩度」の項目で調整します
彩度の調整は「彩度・自然な彩度」の2種類あるのですが(ややこしいのですよね)。「自然な彩度」の方が不自然な色になりにくいため、基本的には僕は「自然な彩度」で調整することが多いです


「彩度」の方は一律的に色の濃淡を変える一方で、自然な彩度では自然色に近い色を中心に調整をしてくれます


(スライダーを左右に振ってみてください)


before / after
色味調整:特定の色味調整(HSL)
全体的な色味の強調が完了したので、最後に色別に色の濃淡を調整し「青とオレンジの色だけを強調」してみます
「HSL機能」では、特定の色だけの色の濃さ・明るさ・色調を調整できます


こういった細やかな調整ができるのが、有料のRAW現像ソフトの強みです


(スライダーを左右に振ってみてください)


before / after
(スライダーを左右に振ってみてください)


「青色とオレンジ色」が強調され、より煌めきのある写真に仕上がったかと思います!
画像ファイル(JPEG)に書き出す
RAWデータはあくまでデータの集まりで、そのままSNSにアップすることはできませんので、最後にJPEGに書き出していきます。これでRAW現像の一連のワークフローの完了です
(スライダーを左右に振ってみてください)


before / after


いかがだったでしょうか。今回の操作はあくまで簡単な例で、学べば学ぶほどRAW現像では自分好みの写真に仕上げることができます!
まとめ:RAW現像のやり方をマスターして写真を磨き上げよう
今回はRAW現像・レタッチ初心者の方に向けて具体的なRAW現像のやり方について体系的に紹介させていただきました
記事中でも触れた通りRAW現像は、一般的なJPEGレタッチや動画のカラーグレーディングとは違い、圧倒的に色情報がリッチに詰まったデータを使用するため、編集の自由度が非常に高い点が魅力です
また、RAW現像を行うあたっては、ツールそれぞれで操作性が異なるために、使いやすさや費用面をトータルして長く使えるRAW現像ソフトを選ぶことも非常に重要です
RAW現像を実際に行ってみたい・RAW現像をしてみたけど操作が不安といった方は、操作性に優れた有料RAW現像ソフト「Luminar AI」「Lightroom Classic」がおすすめですので、ぜひチャレンジしてみてくださいね


特に初心者の方には、買い切り方の価格設定・スッと理解しやすいシンプルな操作感が魅力の「Luminar AI」おすすめです!
参考記事
僕自身も普段から使っている「Luminar AI」について初心者の方におすすめな理由をまとめています。ぜひ参考にしてくださいね
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それでは、次の記事でお会いしましょう!よいカメラライフを!