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一般的に軽量コンパクトな三脚ほど、安定感・高さ・耐荷重等のスペックが乏しくなる傾向にある。
とはいえ、電車や徒歩移動が多い撮影で「バッグに重くのしかかる三脚」によって体を痛めた経験を持つ人は多いだろう。僕もその中の一人だ。
この終わらない三脚選びのジレンマにハマり、妥協で軽量三脚を使い続けてきた僕にとって、ようやく理想と思える三脚「Ulanzi & COMAN ZERO Y」に出会うことができた。

本製品のメリット・デメリットは以下の通り。僕が描いていたトラベル三脚像そのものと言っても過言では無いほどに期待通りのスペックで、2022年の暮れに発売して以降、メイン三脚として活躍してくれている。
価格はカーボン製としては比較的廉価な約3万円。公式サイトでは定期的に割引があり、2万円台後半で購入できる。
アルミ製の三脚相場と比べれば決して安く無い買い物だが、僕の経験上、安物三脚に不満を抱えながら使用するくらいなら「Ulanzi & COMAN ZERO Y」を1本を持っておくのがベストな選択だと感じる。
個人的にはここ数年での周辺アクセサリー類の中でも指折りのお気に入りアイテムでため、本レビューの内容を踏まえ、購入の検討に役立てていただきたい。

カーボン製トラベル三脚「Ulanzi&COMAN ZERO Y」|スペックと外観

ボール雲台の形状・伸縮性センターポール・折りたたみ時の形状・三脚収納ケースのデザインは、2020年発売以降大ヒットを続けるピークデザインの「Travel Tripod」(8万円程度)を意識していると言える。
「Ulanzi & COMAN ZERO Y」はさらに、折りたたみ時のサイズがさらにコンパクト化されており、加えて値段はおおよそ半額程度で購入できることから、現在にわたって脚光を浴びているというわけだ。
「Ulanzi&COMAN ZERO Y」スペック
軽量・丈夫なカーボン製三脚であり、本体重量は1.1kgと非常に軽い。さらに折りたたみ時のサイズが非常にコンパクトであり、直径は500mlペットボトル相当と非常に細くなっている。

耐荷重は5kg(雲台依存)。これはミラーレス一眼であれば基本的にどのレンズにも対応できるスペックだ。
スペック項目 | Ulanzi & COMAN ZERO Y |
---|---|
価格 | 3万円程度 (公式サイトで割引あり) |
高さレンジ | 15.3cm〜156.7cm |
重量 | 1.1kg |
雲台 | ボール型自由雲台 |
対荷重 | 三脚:18kg|雲台:5kg ミラーレス一眼と大砲レンズでもOK |
収納時のサイズ | 収納高:42.3cm(国内線機内持ち込みOK) 直径:500mlペットボトル相当 |
開脚角度 | 3段階(20°・55°・75°) |
脚の段数 | 5段 |
材質 | カーボン+アルミ合金 |
クリックリリースシステム | アルカスイス・F38・Ulanzi Claw(選択可) |
付属品 | 三脚収納ケース・ステンレス製石突*3 |
雲台のクイックリリースシステムはアルカスイスをベースに、F38・Ulanzi Clawに対応したモデルもラインナップされており、購入時に選択できる。
僕は普段からF38のクイックリリースシステムを使用しているが、F38のキャプチャーが家に余っていたことから敢えてアルカスイス型のモデルを購入した。

F38クイックリリースシステムは廉価に導入できるシステムとして非常にオススメできる製品だ。初めて目にする方はぜひ以下の記事を一読して欲しい。
「Ulanzi&COMAN ZERO Y」外観・インプレッション
「Ulanzi & COMAN ZERO Y」の大きな魅力は、不便のないスペックを持ちながら、折りたたみ時のサイズ感が非常に小さくまとまっている点に尽きると感じる。
特に直径が非常にスリムで、500mlペットボトルとほぼ同じ直径に収まっていることがわかる。当然、カメラバッグに収納する際もスペースと取らずあっさり収納することができる。


外観は全体的にマット&シックな印象。3万円の三脚として十分所有感を満たしてくれるクオリティだ。操作感にこだわったレバー類の形状やツヤ消し加工された金属部の見た目が個人的に非常に好みである。


5段脚の伸縮をコントロールするロックはレバー式。ナットロック式と異なり展開・収納を素早く行うことができる。また、締め忘れが目視で確認できる点もメリットだ。


雲台の操作感は非常に考えられており、レバー式のロックシステムによって親指1本で気軽に角度調整ができる。ロックはレバー押し込み具合により強度が調整可能であり、強い力を加えずともしっかりとカメラを固定してくれる。

雲台の角度調整はセンターポールの伸縮状態で異なる。ポールを伸ばさない際は約20°程度の微調整が可能であり、ポールを伸ばした場合に360°の回転が可能となる。縦構図の撮影も可能だ。



さらには雲台を固定した状態でも雲台が水平方向に回転するため、水平方向単独の調整が可能だ。画角の微調整や動画撮影時のパン撮影がやりやすく、非常に重宝する機能だ。

最大高は157cm。脚とセンターポールを最大まで伸ばすことで、身長177cmの僕でもアイレベルで撮影できるほどの高さを稼ぐことができる。トラベル三脚用途であれば十分すぎるスペックだろう。

センターポール伸長前|伸長後


なお、開脚角度は3段階(20°・55°・75°)で調節が可能であり、もっとも足を広げた状態では15cmの超ローアングル撮影ができる。

なお、ローアングル撮影時にはセンターポールを分離する必要がある。やや面倒に感じるかもしれないが、それでもセンターポールを逆差しするタイプの三脚よりもスピーディにアングルを変更できる。

分離の際には六角レンチを使い、雲台の上部からネジを差し込んで回すだけで分離することができる。

この作業に必要な六角レンチはセンターポールの先に隠されている。


付属品は三脚ケースとステンレス製の石突。特に三脚ケースはクオリティが高く、厚みのある生地とコンパクトさを活かすスリムな形状になっている。



「Ulanzi & COMAN ZERO Y」に関する外観・スペックの紹介は以上。以降ではこのプロダクトをメイン三脚として使用してきた中で気づいたメリット・デメリットについて触れていく。
「Ulanzi&COMAN ZERO Y」レビュー|実際に使用して感じたメリット
トラベル用三脚には、軽さ・背の高さ・耐荷重・安定性・収納性の5点が求められると僕は感じている。「Ulanzi & COMAN ZERO Y」はこのどれもが非常にレベルが高く、さらには操作感も優れているときている。
それぞれについて具体的なメリットを以下で紹介していく。
軽い筐体に反した十分すぎる耐荷重
「Ulanzi & COMAN ZERO Y」の耐荷重は雲台ネックで5kg。
昨今のミラーレス一眼はフラッグシップでも本体が1kg程度、レンズに関しては500mm越えの望遠ズームでも3kgキロには収まることから、トラベル用途においてはほぼ全てのカメラ&レンズを載せることができる。

これに対して三脚の重量はわずか1.1kg。僕の経験上、1.5kg越えの三脚は持ち運び時の体への負担が大きく、一日中歩き回る撮影では肩が真っ赤になる程辛かった。
2日目にはカメラバッグを背負うことすら億劫になる程だったが「Ulanzi & COMAN ZERO Y」ではこの事象に出会ったことがない。後ほど紹介する収納時の形状も相まって体への負担が非常に小さいのだ。
圧倒的な耐荷重と軽量性、このアンバランスさが最高に気に入っている。
アイレベルから超ローアングルを1本の三脚でカバー
重いトラベル三脚から脱却を求め、以前、重量がわずか0.78kgの「SLIK スプリントMINI」を購入した。
これはこれで気軽な持ち運びに大変重宝したが、109cmの最大高は僕の腰より少し高い程度。障害物を超えることができない撮影シーンに多く遭遇し、利用頻度がみるみる減ってしまった。
一方で「Ulanzi & COMAN ZERO Y」の最大高は157cm。先日も花火撮影をベランダから行ったのだが、手すりを軽々超えてくれるため、最大高のありがたみを非常に痛感した。


また、ローアングル撮影(最低高:15cm)にも対応しており、広角レンズでのあおり撮影も1本の三脚で賄える点もお気に入りポイントだ。

持ち運びの負担が少ないコンパクト性
三脚をカメラバッグで持ち運ぶ際、サイドポケットに収納することが非常に多いかと思う。
しかし、直径の大きな三脚では脚が全て入り切らず差し込み時に手間がかかる上に、三脚が外側に膨れる分、どうしても重量が片側に寄ることで肩への負担が大きくなる。

一方で「Ulanzi & COMAN ZERO Y」は500mlペットボトルとほぼ同じ細さであるため、三脚用のポケットと言わず一般的なバッグのドリンクポケットにすっぽり収まってしまうのだ。

本体重量の軽さも相まって長時間の徒歩撮影でも体への負担が非常に小さいゆえに、旅行や遠方への撮影ロケでは必ず持ち出しているほどにこの恩恵を強く感じている。

折り畳み時の高さ(収納高)を抑えた三脚は多いが直径を抑えたモデルは非常に少なく、その中でもコスパが高い「Ulanzi & COMAN ZERO Y」は非常にオススメだ。
所有感を満たす質感と快適な操作感
いくら機能が優れているとは言え、3万円の三脚にはそれなりの所有感を感じたいところ。この観点においても「Ulanzi & COMAN ZERO Y」は期待に応えてくれる。
(外観編で触れた通り)レバースイッチや水平調整用のノブの操作感、カーボン脚のサラサラとした質感、全体的にマット加工が施された金属部と外観と操作感が非常に良好だ。

カメラ機材全般に言えることだが、良いものはずっと触っていたくなる。「Ulanzi & COMAN ZERO Y」にはそういった類のスタイリッシュさと高級感を感じる。


「Ulanzi&COMAN ZERO Y」レビュー|購入前にチェックしておきたいデメリット
ここまでベタ褒めしてきた「Ulanzi & COMAN ZERO Y」だが、一部デメリットを感じる部分も多少存在する。ここでは対処法を含めて内容について触れていく。
最大高では安定性に不安を感じる
「Ulanzi & COMAN ZERO Y」を最大高にするためには、センターポールを伸ばす必要がある。このセンターポールが僕の親指程度と比較的細く、やや安定感に欠けると感じる。

特にカメラを操作した際に加わる振動によって、センターポールの根元からグラつく印象があり、ポキッと折れないかが心配になる。
Ulanzi&COMAN ZERO Yに100-400mm F4.5-5.6 GMを載せてみた。
— はろ / はろログカメラ (@haroharo72) September 16, 2023
センターポールを最大まで上げると多少フラつくけど、ポールを半分くらいまで下げれば問題なさそう🫨 pic.twitter.com/H1WknMnfk6
そのため僕は普段、大きめのズームレンズを用いる際には片手はセンターポールを持つか、両手でカメラ操作を行うことにしている。実用面を踏まえると今後のモデルでは改善を期待したい部分だ。
カメラを取り付けると水準器が見えなくなる・水平調整レバーが触りづらい
雲台に備わっている水準器はカメラを設置すると隠れる位置に存在しているため、カメラ設置前の水平・垂直調整にしか用いることができないのは惜しい点だ。

また、水平方向のみを調整するためのレバーは、カメラ底部との距離が近すぎて指が上手く入らないとの声をしばしば見かける。

これに対する対策して有効なのが、F38対応のクイックリリースプレートを使うこと。プレートが高さを稼いでくれるため、ノブ型レバーを操作するためのスペースを与えてくれる。


そもそもF38モデルを購入してもよいが、価格がやや高くなるため、個人的にはコスパ&着脱のスマート化も兼ねて、F38クイックリリースプレートと併用する方法をオススメしたい。
インプレッションの紹介は以上だ。センターポールを最大まで伸ばした際の安定性と細かい操作感の部分についていくつか気になる点を上げたものの、軽さ・背の高さ・耐荷重・収納性の素晴らしさはこれを遥かに上回るメリットを与えてくれる。
持ち運びやすさと撮影の幅を最大限に与えてくれるトラベル三脚「Ulanzi & COMAN ZERO Y」

トラベル三脚は持ち運んで初めて価値を発揮する。その点「Ulanzi & COMAN ZERO Y」は持ち運びやすさと現地での撮影の幅を最大限に与えてくれた。
3万円のトラベル三脚は決して安い買い物ではないが、今ではめっきり使用頻度の減った三脚たちに投じた金額で買うことができてしまうことを踏まえれば、はじめからこの1本を手にできれいれば・・・とも思う。
今日の外出は三脚が負担になりそう・・・と三脚にネガティブな印象を感じている方に、ぜひこの快適さを体感してもらいたい。
